俺、45歳だけど平気?
シャンパンの入ったグラスを揺らしながら彼はこう言った。
夜景が見える、綺麗なレストランにて。
シャンパンから上がる黄金色の気泡を眺めながら、目の前の男をじっと眺める。
話し上手とは言えない、たらこ唇に太い眉毛。イケメンとは程遠い容姿。それでも、年齢のことを先に気にするなんて。
45歳以前に、顔がアウトよ!!!
心の中の声にそっと蓋をして、私もシャンパンのグラスをくいっと傾け、流し込む。
とりあえず、酔っちゃえば平気。。
この精神に身を任せ、今日はどんな誘い方かなぁ、と心の中で微笑む。
前回のスーツイケメンがいなくなってから、夏休み、私は『カラダの相性』という目的のもと、経験人数二桁突入間近にもおもわれた。
今のところ、収穫なし。膣をきゅっと締めてあげれば、8割くらい「また会おうよ」って言ってくる。
もちろん、お互い本気な恋なわけないけど。
「で、結婚とかどう考えてる?」
へ?いつの間に結婚の話になっていたんだろう。
お互いの身の上話、よく行く海外旅行の話、急に結婚の話、、?
「結婚は、、まだぁ〜かな」
笑顔で困った顔をして(いやほんとに困ったから)言うと、45歳は真剣な顔つきで語り始めた。
「俺、本当にそろそろ結婚したくて。もえchanは結構可愛いし、スタイルいいし、実際タイプなんだよね。話し方とか。まずは、付き合うことからどう?」
つ、付き合うーー!!!?!初対面で付き合うーーー!?突き合うんじゃなく?!
頭の中がくるくる回る。
「うーん、、まぁ、ちょっと、、だって、会ったばっかりですよ?」
「うん、その通りだよね。」
男は頷いてから、「そろそろ二軒目行こうか」とカサカサした手で握ってくる。ア、結構あつい。これ、結構酔ってるね向こうは。
シャンパンで酔うなんて許せない。と、タクシーで二軒目移動。
言い忘れたけど、相手の職業は美容外科医。
こちらも超お金持ち。私の両親合わせた年収、軽く超えてるんじゃないだろうかと思う。
ホテルのロビー到着。時間は23時頃。
ここで待っててね、と言われて都内の某高級ホテルのロビーをぐるっと見渡す。
本来ならここで気づくべきだったんだけどー
ウブな私は、ホテルのバーで飲むってことかな。帰り、タクシー呼びやすいし好都合かも♪なんて考えていた。
「お待たせ、じゃ、行こっか」
「はーい♪」
上品かつ軽快な音とともに、エレベーターが目的の階に到着した。
「???」
バーじゃなくて部屋が並んでる!!!私の心の中はしてやられた感でいっぱい。それでもなぜか危険レーダーは動かない。好奇心がかなり刺激されている。こういうパターンあるんだ、と心臓の鼓動が早まる。
「え〜あの、部屋で飲むの?」
私が尋ねると彼はとろんとした目で「嫌なの?」とこちらを見てくる。
何が楽しくて45歳のおじさまと、明日の朝までセッxして過ごさなくちゃいけないんだろう。私は帰るよ、今回は、帰る案件だよ。これは。
「じゃあさ、ここでちょっと飲んで、そしたらタクシー乗って帰ろ」
出ました妥協案。ここで私は承諾して、彼はおしゃれな名前のワインを頼む。
飲みたい気分だけは一緒だったみたい。目的は違っても。
45歳、結構酔っ払ってるけど誘い下手だな。
向かい合って座ると何度となく「こっちおいでよ」と誘導してくる。
いや、まだそこに行けるほど酔っ払ってはいないの、ゴメンね。それでもしつこく誘ってくる彼。
覚悟を決めて、隣に移動。もしかしたら囁き方がうまくて、感じちゃうかも(私、耳が性感帯)。
「本当に可愛いね、ね、こっち向いて?」
45歳の酒臭い息が耳にかかる。アカン、これ、アカン。やっぱり誘い下手すぎる。何も感じない。相性、普通かな?
「私、まだ酔ってないの。ごめんなさい。」
顔をきゅっと背けて目を瞑ると相手は膝のあたりを見つめ、小さな声でこういった。
「何が、欲しい?」
え、?
一瞬戸惑ったが、そっか、そういうことか、と3秒後に納得する。
「え〜、なんだろ、お財布」
「財布は、身内の人に買ってもらったほうがいい。その方が運気上がるから。ママにおねだりしな、ね?」
とここで
彼はカバンからおもむろにグッチの長財布を取り出した。
キャー!金で買われる女とやらになるのかわたし!?!キャー!もう私の興奮度はマックスである。なんなの、この体験!!!非現実!!
そして、目の前で開かれる札束ー。
いくらでした、とは言えないし、私がこの後どうしたとかも言えない。
ご想像に、お任せします♡♡
彼とはたまにそれ以後会いましたが、現在はこちらから連絡をとってないです。
こういったお金に関係したことがあるキラキラ女子は一体どれくらいいるのでしょうか?
でも、法律に触れることはしないように、正しく、楽しく、遊ぼうね。深入りはしないようにね!!
次回、「何となく、キャバクラに応募してみた☆」